※このお話は、元旦にTwitter上で始まった会話劇を広げたものです。
※こちらの内容と『HappySisterUtopia!』および『サイコロジック・ラブコメディ』の作品内容とは無関係です。
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日付をまたぎ、年始を迎えた平柏家。せっかくだから、と空が深月に振り袖を着るようお願いする……のだが。
【深月】
「で、空が着てみろっていうから仕方なく着てみたんだけどさ……これ動きにくいだけじゃん。……初詣? やだよ寒いし人多いし。それより早く脱ぎたいから、ちょっと手伝ってよおにぃ」
【空】
「えーっ、いこうよいこうよぉーー、元旦だよぉ? ねーねー、はーつーもーぉーでー! はるくんもなんか言ってあげてよぉ」
【陽希】
「えぇい、駄々っ子のようだなまったく……。深月も、今日ぐらい外に出てみたらどうだ? ……それと着替えに俺を使うな。そのくらい自分でやれ面倒くさい」
【ユイカ】
「……着替えさせることそのものには抵抗がないんだな……君、少しシスコンが過ぎないかい。妹もブラコンだしどうしようもないなこの兄妹は……ちなみに僕は初詣には行かないぞ。陽希がどうしても行きたいというのなら考えてもいいが」
【深月】
「は? なんでユイカの行動におにぃが関係してるのかわかんないんだけど。おにぃは私とゲームの続きをやるって決めてるんだから。もちろん徹夜で」
【空】
「もぉーっ、みーちゃんってばそんなにユイちゃんと喧嘩しないでよぉ。みんなで初詣に行けば全部解決するんだからさ、ねっ? あと徹夜なんてダメだよぉ?」
【ユイカ】
「ふむ……つまり、問題は陽希が初詣に行くか、妹と徹夜でゲームをするか、ということだ」
【深月】
「そう、そのとおりだよおにぃ。ユイカと空を選ぶか、私を選ぶかの問題なんだから。……まぁ、初詣なんて行かせないけどね」
【陽希】
「お前はなんでいつもそうやって俺の意思を無視するんだ……。自分の行動ぐらい自分で決めさせてくれ」
【空】
「それはいいけどさぁー、じゃあはるくんはどうしたいの? おうちに残る? それともみんなで初詣?」
【陽希】
「うーん……このままだと深月は動かないだろうし、ひとまず家に残ればいいんじゃないか? 初詣は昼間でもいいし」
【深月】
「ふふん、さすがはおにぃ。私にはやっぱり逆らえないよねー」
【陽希】
「そう言われると出かけたくなるな……」
【深月】
「えぇー……おにぃ、優柔不断ー」
【陽希】
「ぐ……っ」
【ユイカ】
「……まぁ落ち着け、陽希。妹を殴ったりしたら兄としてはアウトだぞ」
【空】
「人間としてもダメだよぉっ」
【深月】
「んふふ、どうせおにぃはそんなことしないもんねー?」
【陽希】
「く……っ」
【ユイカ】
「おい、さっきから日本語が話せてないぞ。大丈夫か陽希」
【空】
「ま、まぁまぁ! みんな家に残るなら、せっかくだからなにかゲームでもしようよ」
【ユイカ】
「というと?」
【空】
「えっとね、せっかくお正月なわけだし、みんなでリクリエーション的なことでもやらない?」
【陽希】
「……具体的には?」
【空】
「絶対にツッコんではいけない平柏家とかどうかな」
【ユイカ】
「それ、どういうゲームなんだ?」
【空】
「読んで字の如し、何があってもツッコミを入れちゃいけないゲームだよぉ? それだけだと簡単かもしれないから、リアクションを取っちゃいけないとかどうかな」
【深月】
「つまり、笑ったりするのもダメってこと?」
【空】
「そーそーっ、そういうこと。あくまで平然と、いつもどおりに行動しないとゲームオーバー」
【陽希】
「ゲームオーバーになったらどうなるんだ?」
【深月】
「そりゃ罰ゲームだよおにぃ」
【ユイカ】
「……急に嬉しそうにするんだな、妹」
【空】
「みーちゃんの言うとおり、リアクションを取っちゃったら罰ゲームっていうルールがいいと思うよぉ。罰ゲームが終わったら再開って感じで」
【陽希】
「それ、エンドレスに続かないか?」
【空】
「だって、みーちゃんが徹夜でゲームやりたいって言うから」
【ユイカ】
「おい妹、お前のせいで無駄に疲れるゲームが出来上がってしまったぞ」
【深月】
「私のせいじゃないもん」
【陽希】
「拗ねるな拗ねるな」
【深月】
「拗ねてないし……で、結局やるの、このゲーム」
【空】
「せっかくだからやろうよぉ」
【陽希】
「まぁ、なんにしても家にいるなら暇だしな……たまにはこういうのもいいんじゃないか」
【ユイカ】
「僕は陽希がやるならやる」
【深月】
「……じゃあ私も」
【空】
「けってーい! それじゃ、さっそく始めるね」
【陽希】
「その前に質問」
【空】
「うん? なにかなぁ、はるくん」
【陽希】
「リアクションって言っても判断が難しいんじゃないか? 誰か審判がいるわけでもないし」
【空】
「そっかぁ……みんなでゲームやっちゃったら、判断する人がいなくなっちゃうねぇ」
【??】
「ふふふふ……みんな、呼んだかなぁ?」
【陽希】
「……」
【深月】
「……」
【ユイカ】
「……」
【空】
「……」
【??】
「……あ、あれ、聞こえなかったのかな……よ、呼んだかなぁ……?」
【深月】
「今、なんか聞こえなかった?」
【陽希】
「聞こえたな」
【ユイカ】
「泥棒じゃないかい。まったく、この家の防犯はなってないね」
【空】
「でもでも、泥棒さんだったら普通は声だしたりしないよぉ」
【??】
「って聞こえてるんなら返事してよぉ」
――ガラ、とリビングの扉を開けて人が入ってくる。そう、スク水を着た人が。
【陽希】
「ええと……どちら様?」
【ユイカ】
「(君は無駄に冷静というか、それ以外にリアクションはないのかい……)」
【??】
「まったく、この姿を見ても気づかないなんて……かみさまだよぉ!」
【深月】
「かみさま? おっぱいじゃなくて?」
【空】
「ひどいよみーちゃんっ! あ、あの、ごめんなさい!」
【かみさま】
「いいよぉ、かみさまはそのへんの水たまりよりは広い心を持ってるからねぇ」
【空】
「は、はぁ……ならよかったです……。もぅ、みーちゃんたら初対面の人に失礼だよぉ」
【深月】
「えー、だって……なんか空と雰囲気が似てるし……しゃべりかたも似てるし……」
【ユイカ】
「おっぱいが増えたと思ったわけだな。それはつい口を滑らせても仕方ない」
【空】
「仕方なくないしその失礼な呼び方やめようよ!」
【ユイカ】
「やれやれ、おっぱいがなにかしゃべっているようだが聞こえないな」
【陽希】
「それで、結局あなたはどちら様で?」
全員の視線が、スク水を着た人物に集中する。
【かみさま】
「だからぁ、かみさまだってば! もう、なんでいつも同じようなやりとりしないといけないのかなぁ」
【ユイカ】
「ふむ。君の事情は知らないが、残念ながらこの世界の神は僕だ。すまないが、他の世界の神は帰ってくれないか」
【かみさま】
「え、えぇ……?」
【陽希】
「おいユイカ、ドン引かれてるぞ」
【ユイカ】
「それは仕方ないな。僕の神々しさにやっと気づいたに違いない」
【深月】
「いやないから。単に引いてるだけだから」
【かみさま】
「た、たしかにかみさまは別の世界のかみさまだけどぉ……来たばっかりだし帰るのはいやだよぉ。というより、審判がいなくて困ってたから助けようと思ったのに」
【空】
「あ、そういえばそうだったね」
【ユイカ】
「すっかり忘れてたな」
【かみさま】
「もぉ、忘れないでよぉ」
【陽希】
「いやいや、忘れるほど衝撃的な登場をしたのはあなたですから」
【深月】
「おっぱいだし」
【かみさま】
「それは関係ないよぉ。もう、はーくんたちとは全然違うんだなぁ……」
【空】
「はーくん? はるくんじゃなくて?」
【かみさま】
「そうだよぉ? はるくんて誰?」
【陽希】
「わたしだ」バッ
【深月】
「おにぃ、無駄にポーズ決めてもこたつの中だから見えないよ」
【陽希】
「そうか……まあそれはともかくとして、はるくんってのは俺のことだけど」
【かみさま】
「そっかぁ、お名前は?」
【陽希】
「平柏陽希……だけど」
【かみさま】
「かみさまの言ってるはーくんっていうのは、白河悠人くんのことだよぉ」
【深月】
「いや誰だよ」
【かみさま】
「ひぅっ。さ、さっきから怖いよぉ……そんなに脅かさなくてもいいのに」
【空】
「す、すみませんかみさま……えっと、その悠人くんとかみさまはどんな関係で……?」
【かみさま】
「どんな……ただれた関係?」
【ユイカ】
「いわゆる大人の関係というやつか」
【かみさま】
「そーそー、おとなのかんけーだよぉ。あ、そうだ! せっかくだからここに呼ぼっ」
【陽希】
「え?」
【深月】
「は?」
【空】
「うん?」
【かみさま】
「はーくん、ゆーちゃん、ちーちゃん、ここまでおいでー」
――と、光りに包まれる平柏家。徐々に眩しさが収まると、そこには……
【悠人】
「……ううん……」
【結乃】
「え? こ、ここどこっ、かみさま?」
【千佳】
「どうやら、どこかのお家のリビングみたいですが……」
【かみさま】
「ようこそみんな、ここは平柏家のリビングだよぉ」
【千佳】
「……平柏、という苗字に心当たりがないんですが」
【結乃】
「結乃も知らないよっ」
【空】
「あ、あのー……」
【千佳】
「なんでしょう? というかここはどこでしょう?」
【空】
「かみさまの言ったとおり、ここは平柏家のリビングで合っているんですけど……それよりあなた方は?」
【悠人】
「僕たちは……白河悠人、結乃、千佳の兄妹です。かみさまとはいろいろありまして……」
【ユイカ】
「苦労してそうだな」
【千佳】
「……察していただけているということは、かみさまがどんなかみさまなのかは分かっていらっしゃるということですね」
【深月】
「さっき唐突に現れて、ゲームの手伝いをするって言い出したんだけどね」
【結乃】
「ゲーム? どんな?」
【かみさま】
「それは! 絶対にツッコんではいけないinitialだよぉ」
【悠人】
「なる……ほど?」
【千佳】
「にーさん、分かってないのに分かってるような返事をしないでください」
【悠人】
「あぁうん、ごめん」
――ここで空より、二度目のルール説明。
1.ゲーム開始から、どんな行動に対してもリアクションを取ってはいけない
2.過剰なリアクションを取ってしまった場合、罰ゲームをこなす
3.アウトかどうかを判断するのはかみさま
4.徹夜
【空】
「というぐらいだよぉ。簡単でしょ?」
【千佳】
「なるほど……あれ、いつの間にか私達も参加することになってませんか」
【ユイカ】
「ここまで来たら仕方ない。諦めろ白河義妹」
【千佳】
「……せめてフルネームで呼びませんか」
【ユイカ】
「なんだ、せっかくのステータスなんだからもっとアピールしていった方がいいんじゃないかい。君の兄だって、義妹義妹と言われたらきっと意識してくれるさ」
【千佳】
「……っ、な、ななななんであなたにそんなことを……」
【結乃】
「ちーちゃんってば、どこに行ってもいじられてて可愛いねー」
【かみさま】
「うんうん、ちーちゃんてば可愛いなぁ」
【千佳】
「そ、それはともかくとして! やるならやるでさっさと始めましょう」
【かみさま】
「照れなくてもいいのにぃ……」
【深月】
「ま、いい加減時間も遅くなってきたし、さっさと始めるのには賛成」
【陽希】
「そうだな……すでにツッコみたいところだらけな気もするけど」
【かみさま】
「それは気にしないお約束だよぉ。それじゃ、今からゲームスタートだよぉ」
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【かみさま】
「……って言ったらゲームスタートね?」
【千佳】
「って始まってないんですか!?」
\チカ、アウトー/
【千佳】
「え?」
【かみさま】
「ツッコミ体質のちーちゃんにはつらいゲームだねぇ」
【千佳】
「え? もう始まってたんですか? え?」
【深月】
「さて罰ゲームは何にしようかな!!!」
【ユイカ】
「相変わらず罰ゲームになると元気だな、妹……」
【かみさま】
「あんまり痛いのとかは可哀想だから、そうだなぁ……身につけてるものを少しずつ取っていくとかはどうかなぁ」
【陽希】
「つまり脱衣ゲームってことか」
【かみさま】
「そうそう、そうだよぉ」
【空】
「でもでも、それだとすぐに脱ぐものなくなっちゃう人もいそうだよぉ?」
【かみさま】
「うーん、じゃあ下着までは脱がなくていいってことにしよっかぁ。誰かが下着まで辿り着いちゃったらまた違う罰ゲームを考えるってことで」
【結乃】
「うんうん、わかったっ」
【深月】
「むー、なんかつまんないけど……しょうがないなぁ。それじゃ、千佳……だっけ? さっさと脱ぎなさいよ」
【千佳】
「ぬ、ぬ……ぬぎ、ます……うぅ……」
【ユイカ】
「まあまあ、すぐに脱ぐって方向にいかなくても……この帽子でいいじゃないか」ヒョイ
【結乃】
「あ」
【悠人】
「あ」
【かみさま】
「あ」
【ユイカ】
「うん? なにかまずかったのかい」
【千佳】
「あ、あぅぅ……に、にーさん!」
【悠人】
「う、うん……」
【千佳】
「抱っこしてください!!!!」ギュウ
【ユイカ】
「いや待て、いきなりどうした白河義妹! 僕が悪いのか!?」
\ユイカ、アウトー/
【ユイカ】
「え」
【かみさま】
「ちーちゃんは帽子を脱いだから、もう次のゲームが始まってるんだよぉ? ユイカちゃんはツッコミ入れたから罰ゲーム♡」
【ユイカ】
「く……っ……こ、この僕がこんなに早く罰ゲームだと……? ち、違う、これはなにかの間違いだ! あの反応を見たらおかしいと思うだろう!?」
【深月】
「はいはい、言い訳はいいからさっさと脱げ」
【ユイカ】
「くそ……っ。覚えてろよ妹……」ヌギヌギ
ユイカ、靴下を脱ぐ。残るはパジャマの上下のみ。
【陽希】
「……」
【深月】
「……」
【空】
「……さ、さてと……なんだかいきなり始まっちゃったけど、実はもう一つやりたいことがあったんだよね」
【ユイカ】
「やりたいこと?」
【空】
「いやさ、せっかくこれだけの人数集まってるんだし何かご飯でも作ろうかなって」
【結乃】
「ご飯かぁ、おにいちゃんも得意だよねっ」
【悠人】
「まぁ、人並み程度にはね」
【千佳】
「んふふ、にーさんのお料理大好きです。にーさんも大好きです」
【空】
「本当? それじゃ、みんなで作ろうよ。お鍋とかどうかな?」
【陽希】
「(あの妹の行動を無視するか……空ってわりと凄いんじゃないか……?)」
【深月】
「せっかくだし、お餅とかも入れたらどう?」
【空】
「いいねぇ。ある程度の材料ならここにあるだろうし」
【悠人】
「それじゃあ、僕も手伝いますから。一緒に作りましょう」
【千佳】
「えへへ、にーさん、私も私もー」
【ユイカ】
「じゃあ僕も手伝うとしよう」
【陽希】
「じゃあ俺も」
バンッ
【深月】
「僕はその頃寝ています」
【結乃】
「その方がありがたいです」
【深月】
「やっぱり……」
【ユイカ】
「……」
【陽希】
「ぶふ……っ、くっ……っっ」
【空】
「二人とも息合いすぎだよっ! というか今のタイミングでよくそのボケを入れたねみーちゃん!?」
\ソラ、アウトー/
【空】
「あ」
【深月】
「ククク……誰か引っかかると思ったけど、ふふふっ……やっぱりね……ふはははははっ」
【悠人】
「く、黒い……黒いよ……髪も黒いし長いし……」
【結乃】
「あれ、なんか結乃も悪いことしちゃった?」
【空】
「ひどいよっ! ハメることないじゃん!」
【かみさま】
「そうだねぇ、ハメられるなら別のハメ方の方がいいよねぇ」
【空】
「なんの話をしてるのか分からないよぉ!」
【かみさま】
「またまたぁ、分かってるく・せ・にぃ……」
【深月】
「それはともかくさっさと脱げ」
【空】
「う、うぅ……」ヌギヌギ
空、靴下を脱ぐ。残りはパジャマの上下のみ。
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陽希、空、悠人、千佳、かみさまがキッチンへ移動。
【悠人】
「さ、さて、気を取り直して鍋を作りましょうか」
【空】
「そうですね……」
【陽希】
「人の家だとやりにくいかもしれないけど、遠慮しないで調理用具とか使って大丈夫だからな」
【悠人】
「ああ、はい」
【陽希】
「あと、敬語だとやりにくいからそれもなくていい。どうせ同い年だろ?」
【悠人】
「はい……いや、うん。男は僕と陽希くんだけだし、せっかくだから遠慮はしない方がいいか」
【かみさま】
「うん? それははーくんとはるくんがイチャイチャするってことかなぁ?」
【陽希】
「いやしねぇよ」
【悠人】
「うん、そういうのは勘弁だな……」
【ユイカ】
「なんだ、君はてっきりどちらでもいけると思ってたんだが」
【陽希】
「お前な……」
【千佳】
「いいですか、にーさんは私だけ見てればいいんです! 男の人なんて見ちゃダメです!」
【悠人】
「う、うん……そうか……」
【陽希】
「大変そうだな、お前も……」
【悠人】
「気にしないでくれ」
【空】
「ともかく、さっさとお料理しないとお腹すいちゃうよぉ」
【ユイカ】
「ふむ、では取り掛かるとするか」
【空】
「それじゃあ最初に、おいしいお鍋を作る心がけを教えておきましょう。あ、ちなみに鶏鍋を作る予定だよぉ」
【陽希】
「おぉ、なんか本格的だな」
【悠人】
「うん、僕も聞いておきたいな」
【空】
「おーいしーいーおー鍋の作り方〜」
【空】
「まず養鶏場を用意します」
【陽希】
「おいちょっとまて」
\ハルキ、アウトー/
【陽希】
「あ」
【ユイカ】
「……ぐ……っ、ん、くふ……っ」
【陽希】
「そらぁぁぁぁっっ!!」
【空】
「あははー、ごめんねはるくん」
【かみさま】
「ささ、はるくんもちゃんと脱がないとダメだよぉ」
【陽希】
「くそ……もう安らぐ暇はないってことなのか……」ヌギヌギ
陽希、パジャマの上着を脱ぐ。残りはシャツとパジャマの下のみ。
【ユイカ】
「寒そうだな、陽希」
【陽希】
「お前と比べたらな」
【ユイカ】
「まぁそう言うな。君には感謝してるんだぞ? 僕より先にツッコミを入れてくれなかったら、また脱ぐことになっていた」
【陽希】
「お役に立ててよかったよ……」
【空】
「さてさて、養鶏場は置いといて、心がけの続きを話していくよぉ」
【陽希】
「(まだあるのか、とかツッコまないぞ……)」
【空】
「心がけその2。田んぼを用意します」
【陽希】
「オーケー分かった、用意したらどうすればいい?」
【悠人】
「(陽希くん、その会話に付き合わなくてもいいのに)」
【空】
「苗を植えます」
【陽希】
「なるほど、田んぼだからな。それで美味しいお米を作るってわけか?」
【空】
「いいえ、植えるのはサボテンの苗です」
【悠人】
「いや待ってよ! サボテンは……あー、サボテン、は……」
【空】
「サボテンは?」
【ユイカ】
「どうした白河兄。サボテンがどうかしたのか?」ニヤニヤ
【悠人】
「さぼ……てん……さぼてん……てん……てん………………」
【千佳】
「にーさん、しっかりしてください!」
【陽希】
「あー、あれだよな! サボテンは美味しくなさそうだし、どうせならお米を育てないかっていう提案だよな!!」
【悠人】
「は、陽希くん……! そうなんだよ、サボテンじゃなくてお米がいいなって! ツッコミを入れたかったわけじゃないからね!! ね!!!」
【ユイカ】
「ちっ……」
【空】
「なるほど、サボテンよりもお米がいいんだねぇ」
【陽希】
「ま、まぁな……鍋にはやっぱり白米じゃないか?」
【空】
「そっかぁ。それじゃあお米はあとで用意するとして、心がけその3だよぉ」
【ユイカ】
「ちなみに空、心がけはいくつまであるんだ?」
【空】
「これで終わりかなぁ。心がけその3、最後に土を肥やすための土地を用意します」
【悠人】
「なるほど、そこで野菜を作るわけだね」
【陽希】
「(いい加減慣れてきたか)」
【空】
「いいえ、違います。肥やした土で土鍋を作ります」
【陽希】
「ぶふ……こ、こだわりがあっていいんじゃないか?」
【空】
「ちなみに土鍋を作ったあとの土地に家を建てます」
【悠人】
「家を建てるところまで計算してるなんて凄いね! 土鍋を作り終えるまでどこに住んでたのかが気になるね!」
【空】
「それはもちろんMyHomeです」
【千佳】
「それがあるならなんで家を建てたんですか! あと無駄に流暢な英語で言わないでください!」
\チカ、アウトー/
【悠人】
「千佳……」
【千佳】
「いいんです、にーさん……もう我慢できなかったんです……」ヌギヌギ
千佳、上着を脱ぐ。残りはワンピースとタイツ。
【かみさま】
「我慢できないなんて、ちーちゃんはいやらしい子だなぁ」
【千佳】
「くぅ……っ、文句を言いたいのに言えない……っ」
【ユイカ】
「白河義妹……不器用なやつめ」ナデナデ
【千佳】
「なぜ頭を撫でるんですか」
【ユイカ】
「なんとなくそうした方がいいかと思ってな」ナデナデ
【陽希】
「じゃあ俺も」ナデナデ
【空】
「なら私もー」ナデナデ
【悠人】
「じゃあ僕も」スッ
【ユイカ・空・陽希】
「どうぞどうぞ」サッ
【悠人】
「……そ、そう、いわれると……っ、やりにくいんだけど……(笑うな笑うな笑うな、ここで笑ったらアウトだ!)」
【千佳】
「にーさん、撫でてくれないんですか……?」
【悠人】
「わ、悪かったって千佳……そんなに目をうるうるさせながら見ないでよ」ナデナデ
【千佳】
「んふふ、ありがとうございます。やっぱりにーさん大好きです」
【悠人】
「う、うん……」ナデナデ
【千佳】
「……」
【悠人】
「……(これ、いつまでやればいいんだろう……)」
【空】
「それじゃあ、悠人くんと千佳ちゃんがいちゃついてる間に、私達はお鍋を作っちゃおうか」
【陽希】
「土鍋は作らなくていいのか?」
【ユイカ】
「それを言うなら家も作らないと」
【空】
「それはもういいからぁ、二人とも手伝ってよぉ」
【陽希】
「ふむ……」
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【空】
「……と、いうことでぇ! お鍋ができたよぉ!」
【結乃】
「おぉー、美味しそうだねっ」
【深月】
「なんか妙に時間かかったけど、何してたの?」
【陽希】
「いろいろとな……」チラッ
【千佳】
「も、もうやめちゃうんですか……?」ウルウル
【悠人】
「いや、ううん……」ナデナデ
【深月】
「……何アレ」
【ユイカ】
「兄妹の交流だ。君たちもやってみたらどうだい」
【陽希】
「やめてくれ。あんなことしたら俺の身がもたない」
【深月】
「えー何それなんか不愉快なんだけど」
【空】
「そうだよぉ? みーちゃんだって、甘えるときは甘えるんだから」
【陽希】
「全然想像できないし、したくもない」
【深月】
「こほん。お、おにいちゃん……みつきのことも、なでなでしてよぉ。してくれないと泣いちゃう……」ウルウル
【陽希】
「あーはいはいそーですねー。ユイカ、代わりにやっといてくれ。その間に食器とか持ってくるから」
【ユイカ】
「まったく仕方ないな君は。僕がいないと何もできないじゃないか……ほら妹、撫でてやるから頭を出せ」
【空】
「ユ、ユイちゃん……そんなことしたら手に噛み付かれちゃうよぉ」
【ユイカ】
「任せろ空、そのくらいは予想済みさ。噛まれそうならすぐに手を引っ込めればいいだけのことだよ」
【深月】
「う、うぅ……」
【ユイカ】
「なんだ妹、ガラにもなく傷ついたのか?」
【深月】
「いじめないでよぉ、ユイカおねえちゃん……みつきのこと、なでてくれるんじゃなかったのぉ……?」
【ユイカ】
「……」フルフル
【深月】
「ユイカおねえちゃん……」
【空】
「ユイちゃん、どうかしたの?」
【ユイカ】
「……な」
【空】
「?」
【深月】
「ユイカおねえちゃん、だいじょうぶぅ? みつきがぎゅってしてあげよぉか?」
【ユイカ】
「……くは……っ、わ、笑わせるな……っ、はははは……、もうダメだ我慢できん……っ、ははは……」
\ユイカ、アウトー/
【深月】
「失礼ねユイカ。ま、アウトになったからいいけど」
【ユイカ】
「妹、今のは反則だ……っ、く、はははっ……ひどいなこれは」
【結乃】
「ひどいっていうならユイカお姉ちゃんもひどいとは思うけど」
【空】
「だ、だねぇ……」
【深月】
「ともあれ、アウトはアウトよ。ほら脱ぎなさい」
【ユイカ】
「あー、くそ、妹にハメられるとはな……いやしかし、今のは笑わせてもらったぞ」ヌギヌギ
ユイカ、パジャマの下を脱ぐ。残りは上のみ。
【陽希】
「ただいまー……って、どうしたんだユイカ。ついに露出に目覚めたのか?」
【ユイカ】
「君、分かってて言ってるだろう……だいたいな、君が素直に妹の頭を撫でていればこうはならなかったんだぞ」
【陽希】
「そう言われても、あの場に留まってたら笑い転げそうだったし」
【ユイカ】
「だからって人に押し付けるな。君に向いてる間は我慢出来たが、僕に『おねえちゃん』はないだろう……笑うに決まってる」
【陽希】
「うわあ」
【深月】
「ちょっとおにぃ、うわあってなにようわあって」
【陽希】
「いや、だって……」
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なんやかんやありつつも、鍋を食べ終わる。
【空】
「ごちそうさまでした」
【全員】
「ごちそーさまでしたー」
【陽希】
「空、このあとはどうする?」
【空】
「そうだなぁ……みんなで双六でもやる?」
【ユイカ】
「なぜ双六なんだ……?」
【深月】
「サイコロだからでしょ」
【ユイカ】
「うん……?」
【空】
「そうだよぉユイちゃん、サイコロなんだから双六やらないと」
【ユイカ】
「そ、そうか……サイコロなのか……」
【陽希】
「ユイカ、ツッコミ入れたいなら入れてもいいんだぞ?」
【ユイカ】
「そういう君こそ」
【陽希】
「いやいや、俺はサイコロに対して疑問なんて抱いていないからな。サイコロだなんて当たり前じゃないか、サイコロだなんて」
【悠人】
「(なんでそんなにサイコロを強調するのか分からないけど、今は気にしないでおこう……)」
【千佳】
「ちなみに、道具はこちらで用意させていただきました」
【結乃】
「早いねちーちゃん……」
【かみさま】
「そう来るだろうと思って、かみさまが用意しておいたんだよぉ」
【悠人】
「なるほど、ありがとうかみさま」
【空】
「ありがとうございます! それじゃあみんな、これで進めていくよぉ」
テーブルにマス目の書かれた紙をセットした一同は、順番を決めて席につく。
【深月】
「一番目は私ね。それじゃ、サイコロを振ってと……」
【空】
「わぁー、すごいねみーちゃん。いきなり6だよぉ」
【深月】
「当然でしょ。ゲームで負けるなんてありえないし」
【陽希】
「ん、マス目になにか書かれてるぞ」
【悠人】
「えっと……妹らしくする? かみさま、これってどういうこと?」
【かみさま】
「書いたとおりだよぉ。みーちゃんってば全然妹らしく振る舞わないから、ちーちゃんみたいにしてもらおうかなって」
【結乃】
「そう言われると結乃が妹らしくない、みたいに聞こえるよぉ……」
【ユイカ】
「そして白河義妹はと言えば、さっきから白河兄の膝の上に座って抱きついているわけだが」
【かみさま】
「うん、だから同じようにしないとだめだよぉ」
【深月】
「は……はぁ? なにそれ」
【空】
「みーちゃん、ルールはルールだよぉ。ちゃんと従わないと」
【深月】
「く……っ」
【陽希】
「俺を睨むな。こっちだって困る」
【かみさま】
「ほらほら、早くしないとぉ」
【深月】
「し、仕方ないわね……ほらおにぃ、さっさと膝の上あけなさいよ。座ってあげるんだから感謝しなさいよ」
【かみさま】
「ちゃんと抱きついて、言葉遣いも変えないとだめだよぉ?」
【深月】
「うぐ……お、おにいちゃん……ぎゅってしても、いーい……?」
【陽希】
「くっ……こ、これは……ぶふ……っ」
【深月】
「いーい?」ギロリ
【陽希】
「はい」
【悠人】
「さて、次は僕の番だね。えっと……3だから……」
【ユイカ】
「語尾にですわをつけるだそうだ」
【悠人】
「……」
【かみさま】
「ちなみに、ちゃんとこなさないとアウトだよぉ」
【悠人】
「そ、そう……ですわ」
【空】
「次は私だねぇ。ええっとぉ……5だね」
【陽希】
「右にいる女の子のスカートをめくる……右ってことは結乃ちゃんか」
【結乃】
「ええええっ、ええっとぉ……」
【空】
「ごめんね結乃ちゃん」バサッ
【ユイカ】
「躊躇がないな」
【結乃】
「うわぁぁぁんっ」
【千佳】
「にーさんにーさん、スカートの中身なら私も見せましょうか?」
【悠人】
「い、いや……遠慮しとくよ……ですわ」
【深月】
「おにいちゃんおにいちゃん、スカートの中身なら私も見せようか?」
【陽希】
「そうだな、今度スカートをはいてる時に見せてくれ」
【かみさま】
「さすがはるくん、下手にツッコミを入れたりはしないねぇ」
【結乃】
「みんなひどいよっ」
【空】
「まぁまぁそう言わず、次は結乃ちゃんの番だから、ね?」
【結乃】
「うぅぅ……えっと、4マス目……」
【ユイカ】
「大事な告白をする……だそうだが……」
【結乃】
「だ、大事な告白!? えっと……」
【かみさま】
「制限時間、あと5秒だよぉ」
【結乃】
「えっと、えーっとぉ……そうだ! 思いついたよっ」
【空】
「では結乃ちゃん、どうぞ」
全員の視線が結乃に集まる。
【結乃】
「じ、実は結乃ねっ……おにいちゃんの……おにいちゃんの……」
【深月】
「おにいちゃんが隠している女装趣味をこっそり覗くのが好きだったんだっ」
【悠人】
「そ、そんな! バレてないと思ったのに……ですわ!」
【結乃】
「えええええっ!? おにいちゃんそんな趣味あったのっ!?」
\ユノ、アウトー/
【結乃】
「えええええっ!?」
【かみさま】
「だめだよぉゆーちゃん。何事も当然のように受け入れないとぉ」
【悠人】
「ごめん結乃、ツッコミを入れないようにって思ったらつい……」
【結乃】
「そんなぁ……」
【ユイカ】
「なんだ白河兄、女装趣味は嘘なのか?」
【深月】
「せっかく秘密を明かすきっかけを作ってあげたのに」
【陽希】
「お前、本当に楽しそうだな……」
【深月】
「えー? そんなことないよぉお・に・い・ち・ゃ・ん♡」
【陽希】
「ぐふ……っ」
【深月】
「どうしたのかなぁおにいちゃん」
【陽希】
「わ、笑うのを我慢してないんてないから気にするな……っ、くふ……っ」
【千佳】
「わ、私はにーさんが女装してても好きですから!!!!」
【悠人】
「ああうん、ありがとう……ですわ」
【かみさま】
「ともかく、ゆーちゃんも脱ぎ脱ぎしようねぇ」
【結乃】
「うぅ……」ヌギヌギ
結乃、ニーソを脱ぐ。残りはワイシャツとスカート。
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その後も、なんやかんやと無理難題をこなしていく一同。
しかしながら、双六を終える頃にはアウトになった回数も増え続け……。
【空】
「はぁ……っ、はぁ……っ、お、終わったぁ……」
【千佳】
「さすがに、疲れました……」
【ユイカ】
「この僕が……こんな……」
陽希、シャツとズボン。
深月、ノーダメージ。
空、下着のみ。
ユイカ、下着のみ。
悠人、ズボンのみ。
結乃、ワイシャツのみ。
千佳、下着のみ。
【陽希】
「この状況で一度も引っかかってないのか……深月」
【深月】
「当然でしょ。振り袖の下、何も着てないし」
【全員】
「え」
\ミツキ以外、全員アウトー/
【全員】
「えぇーーーーーっ」
おわり
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【悠子】
「女装趣味なんてないんです……本当に冤罪なんです……信じてください……」